Japanische Klassiker mit Furigana
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こんじきのし
金色の死
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 金色の死 (こんじきのし) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 22.997 Zeichen · 46 Bildschirme
彼の容貌と体格と服装とは益々立派に艶麗になって、何だか傍へも寄り付けないような光彩を放って見えました。話をしようとしながら、私は思わず其の美に打たれて黙って了う事が度び度びでした。多くの女が彼の為めに涙を流し、命を捨てようとしました。そのうちには殆んど有らゆる階級の婦人を網羅して居るようでした。料理屋、待合は無論の事、彼は自分の家柄を利用して、諸方面の夜会園遊会などに迄出入しました。
「あゝ西洋へ行きたい。西洋へ行きたい。立派な体格を持った西洋人に生れなかったのは僕の第一の不幸だ。」
其の時分、彼の西洋崇拝熱は非常に旺盛になって、一としきり「日本の物は何でも嫌いだ。」などと云いました。何か込み入った事情があると見えて、彼の伯父さんはどうしても岡村君の洋行を許さなかったのです。
連日連夜の歓楽に浸りながら、彼の強壮な体格は少しも衰えませんでした。尤も彼は飲酒と喫煙とを好みませんでした。「酒や煙草を飲むと官能が痺れて了って、十分な快楽を味う事が出来ない。完全な健康を維持して居なければ、強い刺戟を感受する資格がない。酒は人間を酔わせる代りに、酔の醒めた後で非常に憂鬱な気分を起させる。