Japanische Klassiker mit Furigana
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こんじきのし
金色の死
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 金色の死 (こんじきのし) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 22.997 Zeichen · 46 Bildschirme
けれども前に断って置いた通り、此れ等が決して岡村君の真の創作ではないのです。私はダンテがウェルギリュウスに案内されるように第一の関門たる芝生を過ぎてから、真に讃嘆すべきさま/″\の建築や壁画の模造を見せられました。或は又若冲の花鳥図にあるような爛漫たる百花の林を潜って孔雀や鸚鵡の逍遥して居る楽園のあたりにも導かれました。然し、此れ等の結構がいかに嵬麗の極みであったかは、概ね読者の想像に委せて詳細な記述を試みる事を避けようかと思います。
私達は夕日が山に傾きかけた頃、深い深い森の中を辿ってとある古潭の滸に出ました。鬱蒼たる老樹の幹には蔦葛の葉が荒布のように絡み着き、執念深く入り乱れた枝と枝とは参差として行く手の途を塞ぎ、雑草灌木の矢鱈無上に繁茂した湿っぽい地面につゝまれて、太古のような静けさの底に、瑠璃の如く透徹した泉の水が澱んで居るのです。すると何処からともなくちょろ/\と涓滴のしたゝる音が聞えて来ました。
「あの音のするところへ行って見給え。」
岡村君にこう云われて、私は水音を便りに荊棘の間を分けて泉の縁へ降りて行きました。私は岸辺に彳んで向う側を見渡した時、其処に名状し難い神々しさの、美女の立像を認めました。