Japanische Klassiker mit Furigana
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こんじきのし
金色の死
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 金色の死 (こんじきのし) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 22.997 Zeichen · 46 Bildschirme
尤も彼は異常な健康を有するに拘わらず、自分の死期が近づいて居る事を既に予想して居たようにも思われました。「僕はもうあるだけの財産を遣い切って了った。今のような贅沢は、此れから半年も続ける事が出来ない。」こう云って、彼は多少自棄気味で酒も飲めば煙草も燻らすようになって居ました。
私が滞留して居た十日の間、彼は毎夜々々服装を取り換え、いろ/\の不思議な風俗で私に接しました。彼は此の頃の露西亜の舞踊劇に用いられるレオン、バクストの衣裳を好んで、或は薔薇の精に扮し、或は半羊神に扮し、或はカルナヴァルの男に扮し、しまいには服装を換えるだけでは飽足らずなって、Scheherazade の踊に出て来る土人に変じて体中を真黒に染めたりしました。十日目の晩には多勢の美男美女を撰りすぐり、羅漢菩薩の姿をさせたり、悪鬼羅刹の装いをさせたり、揚句の果に自分は満身に金箔を塗抹して如来の尊容を現じ、其の儘酒を呷って躍り狂いました。
徹夜の宴に疲れ抜いて、殿堂の廊下や柱や長椅子にしどけなく酔い倒れたまゝ、明くる日の明け方まで何も知らずに睡り通した一同の者は、やがて眼を醒ますと部屋の中央の卓子の上に、金色の儘氷の如く冷めたくなって居る岡村君の死骸を発見したのです。