Japanische Klassiker mit Furigana
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きんぎょりょうらん
金魚撩乱
岡本 かの子
Lesen Sie 金魚撩乱 (きんぎょりょうらん) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 33.999 Zeichen · 67 Bildschirme
復一はこの頃から早熟の青年らしく人生問題について、あれやこれや猟奇的の思索に頭の片端を入れかけた。結局、崖の上へは一歩も登らずに、真佐子がどうなって来るか、自分が最も得意とするところの強情を張って対抗してみようと決心した。到底自分のような光沢も匂いもない力だけの人間が、崖の上の連中に入ったら不調和な惨敗ときまっている。わけて真佐子のような天女型の女性とは等匹できまい。交際えば悪びれた幇間になるか、威丈高な虚勢を張るか、どっちか二つにきまっている。瘠我慢をしても僻みを立てて行くところに自分の本質はあるのだ。要するに普通の行き方では真佐子ははじめから適わない自分の相手なのだ。たった一つの道は意地悪く拗ねることによって、ひょっとしたら、今でもあの娘はまだ自分に牽かれるかも知れない。復一は変態的に真佐子をいじめつけた幼年時代の哀しい甘い追憶にばかりだんだん自分をかたよらせて行った。
そのうち復一は東京の中学を卒え、家畜魚類の研究に力を注いでいる関西のある湖の岸の水産所へ研究生に入ることになった。いよいよ一週間の後には出発するという九月のある宵、真佐子は懐中電燈を照らしながら崖の道を下りて、復一に父の鼎造から預った旅費と真佐子自身の餞別を届けに来た。