Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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きんぎょりょうらん

金魚撩乱

岡本 かの子

Lesen Sie 金魚撩乱 (きんぎょりょうらん) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 33.999 Zeichen · 67 Bildschirme

Aozora Bunko

肥った女の子が床几で絵本を見ていた。騒がしくも寂しくもない小ぢんまりした道筋であった。

真佐子と復一は円タクに脅かされることの少い町の真中を臆するところもなく悠々と肩を並べて歩いて行った。復一が真佐子とこんなに傍へ寄り合うのは六七年振りだった。初めのうちはこんなにも大人に育って女性の漿液の溢れるような女になって、ともすれば身体の縒り方一つにも復一は性の独立感を翻弄されそうな怖れを感じて皮膚の感覚をかたく胄って用心してかからねばならなかった。そのうち復一の内部から融かすものがあって、おやと思ったときはいつか復一は自分から皮膚感覚の囲みを解いていて、真佐子の雰囲気の圏内へ漂い寄るのを楽しむようになっていた。すると店の灯も、町の人通りも香水の湯気を通して見るように媚めかしく朦朧となって、いよいよ自意識を頼りなくして行った。

だが、復一にはまだ何か焦々と抵抗するものが心底に残っていて、それが彼を二三歩真佐子から自分を歩き遅らせた。復一は真佐子と自分を出来るだけ客観的に眺める積りでいた。彼の眼には真佐子のやや、ぬきえもんに着た襟の框になっている部分に愛蘭麻のレースの下重ねが清楚に覗かれ、それからテラコッタ型の完全な円筒形の頸のぼんの窪へ移る間に、むっくりと搗き立ての餅のような和みを帯びた一堆の肉の美しい小山が見え