Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
きんぎょりょうらん
金魚撩乱
岡本 かの子
Lesen Sie 金魚撩乱 (きんぎょりょうらん) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 33.999 Zeichen · 67 Bildschirme
結局、いつもの通り、湖の岐入とS川との境の台地下へボートを引戻し、蘆洲の外の馴染の場所に舶めて、復一は湖の夕暮に孤独を楽しもうとした。
復一はボートの中へ仰向けに臥そべった。空の肌質はいつの間にか夕日の余燼を冷まして磨いた銅鉄色に冴えかかっていた。表面に削り出しのような軽く捲く紅いろの薄雲が一面に散っていて、空の肌質がすっかり刀色に冴えかえる時分を合図のようにして、それ等の雲はかえって雲母色に冴えかえって来た。復一はふと首を擡げてみると、まん丸の月がO市の上に出ていた。それに対してO市の町の灯の列はどす赤く、その腰を屏風のように背後の南へ拡がるじぐざぐの屏嶺は墨色へ幼稚な皺を険立たしている。
対岸の渚の浪の音が静まって、ぴちょりぴょんという、水中から水の盛り上る音が復一の耳になつかしく聞えた。湖水のここは、淵の水底からどういう加減か清水が湧き出し、水が水を水面へ擡げる渦が休みなく捲き上り八方へ散っている。湖水中での良質の水が汲まれるというのでここを「もくもく」と云い、京洛の茶人はわざわざ自動車で水を汲ませに寄越す。情死するため投身した男女があったが、どうしても浮き上って死ねなかったという。