Japanische Klassiker mit Furigana
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きんぎょりょうらん
金魚撩乱
岡本 かの子
Lesen Sie 金魚撩乱 (きんぎょりょうらん) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 33.999 Zeichen · 67 Bildschirme
意志に礙って肉情はほとんどその方へ融通してしまった木人のような復一はこれを見るとどうやらほんのり世の中にいろ気を感じ、珍らしく独りでぶらぶら六本木の夜町へ散歩に出たり、晩飯の膳にビールを一本註文したりするのだった。
それを運んで来た養母のお常は
「あたしたちももう隠居したのだから、早くお前さんにお嫁さんを貰って、本当の楽をしたいものだね」世間並に結婚を督促した。
「僕の家内は金魚ですよ」
酔いに紛れて、そういう人事には楔をうっておくつもりで、復一はこういうと、養母は
「まさか――おまえさんはいったい子供のときから金魚は大して好きでなかったはずだよ」と云った。
養父の宗十郎はこの頃擡頭した古典復活の気運に唆られて、再び荻江節の師匠に戻りたがり、四十年振りだという述懐を前触れにして三味線のばちを取り上げた。
荻江節
松はつらいとな、人ごとに、皆いは根の松よ。おおまだ歳若な、ああ姫小松。なんぼ花ある、梅、桃、桜。一木ざかりの八重一重……。
復一にはうまいのかまずいのか判らなかったが、連翹の花を距てた母屋から聴えるのびやかな皺嗄声を聴くと、執着の流れを覚束なく棹さす一個の人間がしみじみ憐れに思えた。