Japanische Klassiker mit Furigana
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きんぽうさいき
金鳳釵記
田中 貢太郎
Lesen Sie 金鳳釵記 (きんぽうさいき) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.167 Zeichen · 13 Bildschirme
次の室には明るい燈があった。二人はその燈を中にして向きあった。
「今、何か御馳走が出来るが、それまで話をしよう、お父さんもお母さんも、皆御無事だろう」
防禦は心持ちよさそうに顔をにこにこさして言った。興哥は淋しそうな顔を見せた。
「実は、その父も、母も、歿くなりまして」
「なに、お父さんも、お母さんも歿くなった」
防禦は眼を瞠った。
「そうです、父は宣徳府の理官を勤めておりましたが、三年前に歿くなりました、母の方は、父よりも二三年前に歿くなりました」
「そうか、それは知らなかった、それでは、どこもかしこも不幸だらけじゃ、しかし、よく帰ってきてくれた、力を落してはいかんよ」
「いや、もう私も諦めております」
「そうじゃ、諦めなくちゃいかん、諦めるに就いては、まだ一つ諦めて貰わなければならないことがある」
「え」
興哥は防禦の顔を見た。防禦の眼は曇っていた。
「あんたと許嫁になっていた興娘も、病気でなくなったのじゃ」
「え、興娘さんが」
驚きに見ひらいた興哥の眼が悲しそうになった。
「あんたには気のどくだが、しかたがないことじゃ、諦めておくれ、半年ほど患ってて、二ヶ月前に歿くなったのじゃ、あんたの処から許嫁の証に貰っていた鳳凰の釵は、あれは棺の中へ入れてやった。