Japanische Klassiker mit Furigana
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くぎぬきとうきちとりものおぼえがき
釘抜藤吉捕物覚書
林 不忘
Lesen Sie 釘抜藤吉捕物覚書 (くぎぬきとうきちとりものおぼえがき) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.957 Zeichen · 31 Bildschirme
」
聞手の三人は、乗り出して、久住の顔を見た。黙って、久住は、杯を取り上げた。空なのを気がつかずに、口へ持って行って、また、黙って下へ置いた。
惣平次が、銚子を取り上げて、満たした。
「見たところは――。」
と、言って、久住は、ふところへ手を入れた。
「ただの、細長い、魚の鰭のようなものでな、ま、こんな、こちこちの乾物じゃ。」
何か取り出して、親子の眼の前へさし出した。おこうは、ぎょっとして、気味悪そうに反ったが、庄太郎が受け取って、掌の上で転がして凝視めた。
「これがその竜の手――竜手さまですかい。」
惣平次が、息子の手から取って、
「何の変哲もねえように見えるが、どういうんでございますね。」
とみこうみして、火から遠い畳の上へ、置いた。
久住の、すこし嗄れた太い声が、言っていた。
「琉球の、古い昔の聖人の息が、この竜の手にかかっておりますんじゃ。先ざきのことまで、ずんと見通しのきく、世にも偉い御仁であったと申す。そのお方は、人の生命を司る運命と、宿縁をないがしろにする者のかなしみとを、後代のものに示さんとおぼし召されて、これなる竜の手をお遺しなされた。