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Japanische Klassiker mit Furigana

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くぎぬきとうきちとりものおぼえがき

釘抜藤吉捕物覚書

林 不忘

Lesen Sie 釘抜藤吉捕物覚書 (くぎぬきとうきちとりものおぼえがき) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.625 Zeichen · 26 Bildschirme

Aozora Bunko

「仰せのとおり。」

葬式彦兵衛は二つ三つ続けさまに眼瞬きをした。

烏の群から怪しいと見た藤吉が、鎧の渡しへ彦兵衛をやって一番多く烏の下りている小舟の下を突かせると、果して締殺された女隠居の屍体が水腫み返って浮んで来た。舟底には奇妙な引力があって幅のある物ならしばらく吸いつけておくこと、並びにその舟が久しく使われていないこと、まずこれらへ着眼したのが藤吉の器量と冥利とであった。

屍骸は河原へ上げて非人を付けてある、と聞き終った藤吉、

「口を覗いたか。」

「へえ麻屑を少し噛んでやした。それから、木綿糸も。浴衣の地かな――?」

皆まで聞かずに、勘次の押さえている味噌松の両袖を、何思ったか藤吉はめりめりとり取った。と、裸かの右腕に黒痣のような前歯の跡。

「やい、松、往生しろ。」

「糞をくらえ!」

と味噌松は土の上へ坐り込んでしまった。

かねがねおみつに横恋慕していた味噌松は、まず邪魔になる孫右衛門の母お定を締め殺して河中に捨て、次に、誰かは知らずおみつに情夫のあることを感づいて眼が眩み、一挙にして男二人を葬っておみつを我物にしようと、長らく企み抜いた末が、昨夜のあの孫右衛門殺しとなったのだった。