Japanische Klassiker mit Furigana
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くぎぬきとうきちとりものおぼえがき
釘抜藤吉捕物覚書
林 不忘
Lesen Sie 釘抜藤吉捕物覚書 (くぎぬきとうきちとりものおぼえがき) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.547 Zeichen · 27 Bildschirme
」
「おお、な、何と、何と言ったえ。」
「へえ。俺にゃあわかってる、と口早にね、それだけは聞こえましたが――。」
「なに? 俺にゃあわかってる?」
「へえ。俺にゃあわかってる――して親分、ああして手で何か指さしながらがっくりなりましたよ。あああ、嫌な物を見ちまいました。」
なるほど、死人が草の上に延ばした右手人差指の先、そこに畳み提灯がぶらのまんま抛り出されて、筆太に八百駒と読める。
三
「弓を射たたあ親分、大時代な殺しでごぜえすの。」
勘次が口を出した。が、藤吉は答えもしないで、
「矢が、これ、折れてやがる。中ほどからぽっきり――はてな。」と独語ちながら、その矢をぐいと引抜いた。わりに短い。と見ていると、矢羽の下に、勧進撚が結んである。濡れて破けそうなのを丹念に解いて、拡げた。案の定、矢文である。天誅と二字、達者な手だ。
「弓矢と言い、この文句といい、素町人じゃあねえな。」
親分の肩越しに葬式彦が首を捻った。
「あいさ、いっそ難物だあね。」
同ずる勘次。藤吉、しきりに髷をがくつかせていた。
鬼草というのが、今宵人手にかかって非業の死を遂げた草加屋伊兵衛の綽名だった。