Japanische Klassiker mit Furigana
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くぎぬきとうきちとりものおぼえがき
釘抜藤吉捕物覚書
林 不忘
Lesen Sie 釘抜藤吉捕物覚書 (くぎぬきとうきちとりものおぼえがき) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.515 Zeichen · 23 Bildschirme
はっはっは、解ったか。」
「じゃ、あの木――は。」
「漆の木よ。あの花を見て、こちとらあなるほどと感ずったんだ。奴め、暗黒ん中で、漆とは知らず千切ってかけ、折っては被せしたもんだから四時の間にあのざまよ――梅雨に咲く黄色え花が口を利き、とね。ははは。」
「まあ、親分さん、もの言う花でござんすか。ほほほほ。」
と小粋な女中がさらり境いの襖を開けて、
「はい、お待遠おさま。」
「拙は酢章魚でげす、おほん。」
と気取って勘弁勘次は据わり直す。女中が明けて行った廻り縁の障子。降り飽きた雨はとっくに晴れて、銀色に和む品川の海がまるで絵に画いたよう――。櫓音ものどかにすぐ眼の下を忍ぶ小舟の深川通い、沖の霞むは出船の炊ぎか。
「さあ、呑め、もう一杯だけ呑め。」
玉山将に崩れんとして釘抜藤吉の頬の紅潮。満々と盃を受けながら、葬式彦兵衛が口詠んだ。
「梅雨に咲く花や彼岸の真帆片帆。」