Japanische Klassiker mit Furigana
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すずきもんど
鈴木主水
久生 十蘭
Lesen Sie 鈴木主水 (すずきもんど) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.827 Zeichen · 26 Bildschirme
いかに榊原氏が御譜代でも、いざとなれば参酌はないのである。
伝内が四谷のほとりに身を落着けたころ、主水がこんなことをいった。
「忠義な士が、忠義でもないことをして、忠義と思って死んで行く。善人と善人が命を削り合っていよいよ世の中をむずかしくする。情けないものですな」
「というのは」
「忠義ばかりでは、いやさ、善人ばかりでは国も家も立てかねるということです。榊原の家には悪人が不足しているが、それが不幸の源なのだと思って居ります」
といって帰って行った。
読みが深すぎて伝内にはなんのことか理解できなかったが、しばらくしてから思いあたった。
黒田長政の後継、黒田右衛門佐忠之は放縦の行跡がつのって政道が乱れ、鳳凰丸の建造や足軽隊の新設など、幕府の忌諱に触れるような事件が続発するうえ、幕府に不満の駿河大納言忠長と懇談したというようなことから、大いに睨まれた。栗山大膳は苦肉の一策を案じ、忠之に逆謀ありといって五十六ヶ条の罪案をかまえ、主侯を相手どって公儀に出訴し、対決の結果、かえって忠之に逆心のないことを幕府に確めさせ、辛くも黒田の家を救った。武士として不忠不義の汚名を着る以上の大きな犠牲はない。