Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぎんさんじゅうまい

銀三十枚

国枝 史郎

Lesen Sie 銀三十枚 (ぎんさんじゅうまい) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 35.863 Zeichen · 73 Bildschirme

Aozora Bunko

「ご機嫌ね、柄にないわ」

……時々交際で旗亭へ行き、さり気なく家へ帰って来ると、三間も離れて居りながら、

「厭な凸坊、キスしたのね。若い綺麗な芸子さんと。襟に白粉が着いてるわ」

……だが彼女はこの頃では、もうそんな事も云わなくなった。

私が戸外で何をしようと、気に掛けようとはしなかった。

これは一体どうしたのだろう? 何が彼女を変えたのだろう?

彼女は丸髷が好きであった。いつかそれを王女髷に変えた。

家に居たがる女であった。ところがこの頃では用もないのに、戸外へばかり出たがった。

驚くべきことが発見された。彼女は実に僅かな間に、奇蹟的に美しくなり、奇蹟的に気高くなった。

「美粧倶楽部へでも行くのだな。恋人でも出来たのではあるまいか? 恋人が出来ると女という者は、急に美しくなるものだ」

私の心は痛くなった。憂鬱にならざるを得なかった。

14

仰天するようなことが発見された。ある夜私は戸外から帰って来た。彼女は私の書斎にいた。細巻煙草を喫かしていた。煙草を支えた左手の指に、大きなダイヤが輝いていた。

「その指環は?」と私は云った。

私の知らない指環であった。