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Japanische Klassiker mit Furigana

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ぎんさんじゅうまい

銀三十枚

国枝 史郎

Lesen Sie 銀三十枚 (ぎんさんじゅうまい) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 35.863 Zeichen · 73 Bildschirme

Aozora Bunko

お城の堀と石垣と、松との見える小さな部屋へ、私は体を落ちつけた。

霧深い厳冬のことであった。

「彼女が驚こうが驚くまいが、私の知ったことではない。彼女が探そうが探すまいが。私の知ったことではない。とにかく私は彼女を捨た。私にとっては一飛躍だ」

不思議と私の心の中は、ある平和が返って来た。ひどく苦しんだ人間だけが、感ずる事の出来る平和であった。

「ひょっとすると創作が出来るかもしれない」

で私はペンを執って見た。楽にスラスラと書くことが出来た。思想と感情とが統一された。バラバラなものが纏まった。空想さえも湧いて来た。

「少しの努力をしさえしたら、昔の私になれるかもしれない。……書けさえすれば私はいいのだ」

生活の上の不安はあった。しかし原稿が売れさえしたら、下宿代ぐらいは払えそうであった。

「贅沢な生活には懲りている。だからそれへの欲望はない。これは大変有難いことだ一つ一つ欲望を抑えて行って、うんと単純の生活をしよう」

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性慾の方も抑えることが出来た。

私は長い間彼女のために「性のお預け」を食わされていた。いつの間にかそれが慣い性になった。それにもう一つ率直に云えば、私は異性に懲々していた。