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Japanische Klassiker mit Furigana

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どうせんかいじへん

銅銭会事変 短編

国枝 史郎

Lesen Sie 銅銭会事変 短編 (どうせんかいじへん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 106.745 Zeichen · 216 Bildschirme

Aozora Bunko

「へい、皆様ご苦労様で」ひょこんと一つ頭を下げ、「泥棒なら向こうへ行きやしたぜ」主屋の方を指差した。

「うん、そうか」と行きかかる。とたんに聞こえて来る専斎の声。

「その爺を捕まえろ! その爺が泥棒だ!」

あっと云って振り返った時には、爺の姿は遙か向こうの塀の裾に見えていた。それっと云うので追っかける。その後から専斎が喘ぎ喘ぎ走る。

貧乏神は塀際に立ち、一丈に余る黒板塀をじっとその眼で計っていたが、若々しい鋭い元気のよい声で「ヤッ」と一声かけたかと思うと手掛かりもない塀の面をスーッと頂上まで駈け上がったがそこでぐるりと振り返り、きわめて劇的の身振りをすると、

「馬鹿め! アッハハ」と哄笑し、笑いの声の消えないうちに隣家の庭へ飛び下りた。

ようやく駈け付けた専斎は、

「藪殿! 藪殿! ご隣家の藪殿!」涸れ声を絞って呼びかけた。「賊がそちらへ逃げ込んでござる! 取り抑えくだされ取り抑えくだされ! それ一同表へ廻り藪殿お邸へ取り詰めるがよい!」

この時紋太郎は部屋にいたが、「泥棒!」という声を聞くとすぐ縁側へ出て行った。

「また賊がご隣家へはいったそうな。よくよく泥棒に縁があると見える」