Japanische Klassiker mit Furigana
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どうせんかいじへん
銅銭会事変 短編
国枝 史郎
Lesen Sie 銅銭会事変 短編 (どうせんかいじへん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 106.745 Zeichen · 216 Bildschirme
厳めしい表門の前まで来て紋太郎は立ち止まった。
「まさかここからは忍び込めまい。……それでもちょっと押して見るかな」
で、紋太郎は手を延ばし傍の潜門を押して見た。
「どなたでござるな?」と門内からすぐに答える声がした。「土居様お先供ではござりませぬかな? しばらくお待ちくだされますよう」
しばらくあって門が開いた。
もうその頃には紋太郎は少し離れた榎の蔭に身を小さくして隠れていたが、
「土井様と云えば譜代も譜代下総古河で八万石大炊頭様に相違あるまいが、さては今夜写山楼へおいでなさるお約束でもあると見える。……それにしてもさすがに谷文晁、たいしたお方を客になさる」
驚いて様子を見ていると、門番の声が聞こえて来た。
「何んだ何んだ誰もいねえじゃねえか。こいつどうも驚いたぞ。ははアさては太田ノ原の孕み狐めの悪戯だな」
「どうしたどうした、え、狐だって?」相棒の声が聞こえて来る。「気味が悪いなあ、締めろ締めろ!」
ギ――と再び門の締まる陰気な音が響いたが森然とその後は静かになった。
で、紋太郎はそろそろと隠れ場所から現われたが、足音を盗み塀に添い裏門の方へ歩いて行った。