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Japanische Klassiker mit Furigana

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どうせんかいじへん

銅銭会事変 短編

国枝 史郎

Lesen Sie 銅銭会事変 短編 (どうせんかいじへん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 106.745 Zeichen · 216 Bildschirme

Aozora Bunko

ボッと両の眼が霞んで来た。瞳へ紗でも張られたようであった。家々の形がひん曲がって見えた。見える物がみんな遠く見えた。そうしてみんな濡れて見えた。

涙を透して見る時は、すべてそんなように見えるものであった。

体の筋でも抜かれたように、グンニャリとした歩き方で、お色は橋を向こうへ越した。すぐ人波に渦き込まれた。

お色の倚っていた欄干から、二間ほど離れた一所に、五、六人の乞食が集っていた。往来の人の袖に縋り、憐愍を乞う輩であった。

一個の手ごろの四角い石と、十個の小さい円石とで、一人の乞食が変なことをしていた。

やや離れた欄干に倚り、それを見ている老武士があった。編笠で顔を隠しているので何者であるかは解らなかった。

乞食は角石を右手へ置いた。それから小石を三個だけ、その左手へタラタラと並べた。

老武士が口の中で呟いた。

「銅銭会茶椀陣、その変格の石礫陣。……うむ、今のは争闘陣だ」

乞食はバラバラと石を崩した。角石をまたも右手へ置き、その左手へ二つの小石を、少し斜めにピッタリと据えた。それから指で二の字を描いた。

と、老武士は口の中でいった。「雙龍玉を争うの陣だ」