Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.163 Zeichen · 25 Bildschirme
「俺はあのお神が、花嫁は駕籠の中でニコニコしていたと言った時から、こいつは変だと思ったよ。その時はもう庭は暗くなって、駕籠の中の花嫁の顔などは見えなかった筈だ。――それから短刀の鞘に壁土の荒木田の泥が付いていたり、鞘の中に一度血刀を納めた跡があったり――傷口が二つあったり、不思議な事ばかりだったよ」
「やっぱり下手人は、あの伊賀屋の伜源三郎に違いないんですね」
八五郎はまだそんな事を言っております。
「気の毒だが間違いはないよ、――でも二人も三人も男を拵えた上、お仕舞いには金に転がる女の罪の深さは、源三郎どころじゃないよ。その上あのお喜美という娘は二本差の家に生れた癖に、男と見れば誰にでも怪しい愛嬌を振り撒いて、男が自分に夢中になるのを楽しんだ様子じゃないか。いずれは馬鹿で正直な男に殺されるように出来ていたのかも知れないよ」
「あっしに言わせると宇田川小町と言われたきりょうだもの、若い男が迷うのも当り前ですよ。そう言うあっしも少しは迷って見度くもなりますぜ」
「馬鹿だなア、――近所に住んでいなくて、お前は飛んだ命拾いをしたかも知れないよ」
「ちげえねえ」
無駄を言いながら、二人は、明神下の平次の家へ急ぐのでした。