Japanische Klassiker mit Furigana
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にしきぎ
錦木
宮本 百合子
Lesen Sie 錦木 (にしきぎ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 52.481 Zeichen · 103 Bildschirme
さっきまでお経をよんで居た声がパッタリ止んでから今までよっぽど立つけれ共身じろぎする様子さえもないので年かさの女はそうとそばにすりよって様子をうかがって居たがやがて衣ずれの音を気にしながら元の座に帰って来ていかにも心配そうにうつむいたままで居るので女達は、
「どんな御様子でした、御寝になってるんでしょうか」と云うと只女は、
「御可哀そうな事です」と云ったきりで涙を流して居る。外の女達も人にかくして思いなやんで居る心根をいじらしがって化粧のはげるのも忘れて居た。ことに久しい間ついて居る女達なぞは、
「ほんとうにあの紫の君は憎い方だ、あの方さえやさしい心を持って居らっしゃれば君様を始めこんな悲しい思をしないものを。あんな美くしい御顔であんな強いお心を持って居らっしゃるとはほんとうに」と悪口を云って居ると、
「そんなに悪く云うものではない、その強い所が彼の人の何よりも尊いところだと私はよろこんで居る。だれかの様な女は私はすきでない」
と思いがけない光君の声がしたので女達は悪いことを云ったと思って穴にでも入りたいような気持になった。それから間もなく光君の泣いて居るらしい気合がするのでさっきの事でよけいに思いがましたのだろうと思って若い女達は「お可哀そうに」