Japanische Klassiker mit Furigana
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にしきぎ
錦木
宮本 百合子
Lesen Sie 錦木 (にしきぎ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 52.481 Zeichen · 103 Bildschirme
「姫様貴方御考えになりましたか」
と生真面目な様子できく。女君はまぶたがうす紅になって、艷な顔をそむけるようにして、
「幾度云っても同じ事」
と絶え入るように云って扇で顔をかくしてしまわれる。その様子が又なく可愛いので強いことも云えず、ぐちっぽく一つことを二度も三度もくり返してはたから見て居る自分達の心もとなさや、後のためにもなどと久しく話していたが結局は光君によい返事をするようにとすすめるのでだまってきいて居た女君は眉の間に決心の色をひらめかせながら、
「御前は私に心にもない事を筆の先だけで云えと教えるの、御両親は私にそんな事を教えるようにと御前をつけておおきになったのだろうか」
いつにないするどい調子なので乳母はまごつきながらわびる様な声で、
「どうぞ御怒り遊ばないで下さいまし、自分の先が短いので息のある中に御身もきめてしまいたし私どもあんまり心配なのでつい申し上げたのでございますから。そんなに立派な御心とこんなにお美くしい御姿とを御二人に御見せ申す手だてがあったら」
と泣き伏してしまったので紫の君も、
「そんな悲しい事は云わないでお呉れ、私はたよりない身なのだからも少し立ったら、黒い着物でも着ようと思って居るんだから」