Japanische Klassiker mit Furigana
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にしきぎ
錦木
宮本 百合子
Lesen Sie 錦木 (にしきぎ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 52.481 Zeichen · 103 Bildschirme
人なみ以上の心を持って居る人はその世話のしぶりにも人並以上のところが多かった。年とって世なれた乳母さえもその細く親切に気のつくところ、しずかな様子でよくききわけさせることなどはこの上なく感心して涙を流しては女の手を取ってよろこんで居るのであった。人々の人望はこの女二人の身のまわりに集って光君の話の出る毎に紅のことが賞えられた。
けれ共女は若し光君がなおってしまった時に自分のつくした真心を思い出して呉れるかどうかと云うことが女の心をはなれることのない心配でもありかなしみでもあった。
(十三)
この世の中に効の有ると云われる祈り、まじないは金目をおしまずに行われた。広いむな木を一まわりしてやがて向うの山かげに消えて行くような読経の声や天井裏の年経たいたこの耳をふさいで身ぶるいする魔のものばらいの絃の音、そうしたしめった、重々しい声や音ばかりがこの館にみちてしまった。日に幾人となくみこや僧はその白かべの館を訪う、その度に人々は下にも置かぬようにもてなしてその祈りやねがいの甲斐があろうがなかろうがかえりのひきでものには銀と絹、これも一つは物狂おしい光君への供養(まだ死にはしないが)と母君達が思ったのである。