Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
なべしまかいのかみ
鍋島甲斐守
吉川 英治
Lesen Sie 鍋島甲斐守 (なべしまかいのかみ) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.322 Zeichen · 23 Bildschirme
反対に、半田屋の主は数年前に中風で仆れる、家産は傾いて、昔は店の雇人だった彦兵衛から高利を借りて、やっとここ一両年を支えて来たというような始末。
(むかしはうちの店で働いていた男だから――)
後家のおすげは、どこかにそこを頼みとしている所があった。だが、期限が来ると、彦兵衛は、仮借しなかった。約束どおり、抵当にとった家屋を明け渡してもらおうと云う。
貧乏はしても、大店ふうに、家族は多かった。後家は六十に近い年であったが、江戸でも草分の老舗を、自分の代でつぶしては、先祖へも申しわけがないと思うのだった。――で、奉行所の白洲に坐ってからというものは、幾度もここへ出て、
(今後は、自分が先に立って、家族の生活も質素に改め、息子や雇人たちをも自身で督励して、きっと両三年の間には、借財も返すようにしてみせるから、どうか、彦兵衛どのに、慈悲と思うて、又むかしの誼みを思うて、家屋の追立だけは、暫くゆるしてもらいたい)
哀願しては、奉行の前で、泣くばかりであった。
(不愍だ、何としても)
と、甲斐守は、この公事を、和解させようとした。最初は、与力吟味にまかせておいたのであるが、どうしても、彦兵衛が頑として、公事を下げないというので、ここ二回ほど、甲斐守自身が、彼をよび出しては、説得を試みて来たのであった。