Japanische Klassiker mit Furigana
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くわとかまのごがつ
鍬と鎌の五月
黒島 伝治
Lesen Sie 鍬と鎌の五月 (くわとかまのごがつ) von 黒島 伝治 (くろしまでんじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 2.911 Zeichen · 6 Bildschirme
慶応贔屓で、試合の仲継放送があると、わざわざ隣村の時計屋の前まで、自転車できゝに出かけた。
五月一日の朝のことである。今時分、O市では、中ノ島公園のあの橋をおりて、赤い組合旗と、沢山の労働者が、どん/\集っていることだろうな、と西山は考えた。彼は、むほん気を起して、何か仕出かして見たくなった。百姓が、鍬や鎌をかついで列を作って示威運動をやったらどんなもんだろう。
彼は、宗保と後藤をさそい出した。三人で藤井先生をもさそいに行きかけた。
「おや、お揃いで、どこへ行くんだい?」
下駄屋の前を通って、四ツ角を空の方へ折れたところで、饂飩屋にいたスパイがひょっこり立って出て来た。スパイは、饂飩屋で饂飩を食って金を払わない。お湯屋の風呂に入って、風呂銭を払わない、煙草屋で、煙草を借りて、そのまゝ借りッぱなしである。饂飩屋も、お湯屋も、煙草屋も、商売の一寸した手落ちにケチをつけられて罰金沙汰にせられるのが怖い。そこで、スパイに借られ、食われたものは、代金請求もよくせずに、黙って食われ損をしているのだ。
「山の根へ薪を積むとて行ってるんだよ。」宗保が気をきかした。
「ヘエエ。