Japanische Klassiker mit Furigana
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かぎからぬけだしたおんな
鍵から抜け出した女
海野 十三
Lesen Sie 鍵から抜け出した女 (かぎからぬけだしたおんな) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.188 Zeichen · 43 Bildschirme
「ええ、会いたいですとも、庵主さんはその娘さんの名前も居所も御存じなのでしょう。さあ教えて下さい」
「ホホホホ。そんなにお気に入りなら、また会わせてあげますわ。その代り、どうしてもあたしの云うように早くこの土地を去って下さらなきゃ、いけませんわ」
「それは駄目じゃありませんか。あの娘さんとはもう会えなくなる」
「それは大丈夫。あたしが後からきっと連れていってあげますわ」
庵主のいかにも自信ありげな言葉は、まさか偽りではなさそうに見えた。僕はこの上はすべての運命を、再生の恩人の庵主に委せ、なにもかもその指揮どおりにする決心を定めた。
――恋人を彫り抜いた鍵は、遂に秀蓮尼の手に渡してしまった。彼女の胸にはどんな秘策が練られているのだろうか。鍵を見てから、急に昨夜とはガラリと態度を変えた秀蓮尼は、そも如何なる縁りの人物であろうか。
恥ずかしき変装
さすがは弥陀の光に包まれた聖域だけに、隆魔山蓮照寺のなかまでは、追跡の手が届いてこなかった。かくて夕陽は鬱蒼たる松林のあなたに沈み、そして夜がきた。街には賑かな祭りの最後の夜が来た。鐘楼の陰の秀蓮尼の庵室の中では、語るも妖しき猟奇の夜は来たのである。