Japanische Klassiker mit Furigana
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かぎからぬけだしたおんな
鍵から抜け出した女
海野 十三
Lesen Sie 鍵から抜け出した女 (かぎからぬけだしたおんな) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.188 Zeichen · 43 Bildschirme
僕はいまだかつて経験したことのない愕きと昂奮のために、呼吸をはずませるばかりだった。
「これなら大丈夫ですわよ。……時間は丁度いい頃です。お祭りはいま絶頂の賑いを呈していることでしょう。さあその混雑に紛れて、港まで逃げるのです。そこには極光丸という日本の汽船が今夜港を出ることになっていますから、入口で船長を呼び、この手紙を見せるのです。すると船長さんはきっと貴方を安全に保護して、君島まで連れていって下さるでしょう。……では貴方の幸福をお祈りして、そしてお別れしますわ」
手紙を差出す庵主の手を、僕は思わずグッと握りしめた。
「ありがとう。どんなにか感謝いたします。……しかし僕は気が変わりました。もう行きません。殺されてもいいです。貴方の傍にいたいのです。僕はもう、なにもかも分りました。僕が脱走した夜、街の軒下でこの庵室を教えてくれた美しい島田髷の娘さんは、誰だったか分ったのです。それは庵主さん、貴方だったのです。……」
と女装の僕は庵主を抱えようとした。
「まあ、そんなに……」
と、若い庵主は身を引いた。
「愛する貴方を置いて、どうして僕だけ逃げられましょう。