Japanische Klassiker mit Furigana
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かぎやのつじ
鍵屋の辻
直木 三十五
Lesen Sie 鍵屋の辻 (かぎやのつじ) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.524 Zeichen · 25 Bildschirme
こうなれば受ける隙も無い。咽喉笛へ噛(かじ)りつきたいように憎みを御互にもちながら、又五郎も斬らしておいて抜打に数馬の真額(まっこう)へ斬つける。この抜打は承知の事だから、避けは避けたが気が上ずっている身体(からだ)はままに動かない。耳から頬へかけて一筋かすられる。こうなればもう二人とも本当の刀は使えない。無茶苦茶に呼吸(いき)がつづけば斬合うだけである。相当の腕の者なら、槍を受けておいて斬込んだ時に、致命傷を与えてそれでケリがつくのだが、腕のちがいはそうも行かない。宮本武蔵が、
「二刀を使うのは、片手でも双手(もろて)と同様に働かせるための練習である」
と云っているが此処の事である。片手で斬込んだ時平常(ふだん)の練習で双手で斬込んだと同じ効果(ききめ)があったら、数馬は矢張池田家中第一の美男子でおられたかも知れないが、不幸にしてこの心得が無かったため、顔へ二ヵ所の傷を受けてしまった。武蔵は従って大抵二刀で仕合をしていない。必ず一刀でそして一太刀で相手を倒している。流石(さすが)に剣道の第一人者だけの事がある。又右衛門とは又同日の談ではない。
この二人の勝負で、数馬は十三ヵ所、又五郎は五ヵ所の手傷を受けた。