Japanische Klassiker mit Furigana
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に、さんば――じゅうに、さんば
鏡花短篇集
泉 鏡花
Lesen Sie 鏡花短篇集 (に、さんば――じゅうに、さんば) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 33.305 Zeichen · 66 Bildschirme
「雀たちは……雀たちは……」
火を避けて野宿しつつ、炎の中に飛ぶ炎の、小鳥の形を、真夜半かけて案じたが、家に帰ると、転げ落ちたまま底に水を残して、南天の根に、ひびも入らずに残った手水鉢のふちに、一羽、ちょんと伝っていて、顔を見て、チイと鳴いた。
後に、密と、谷の家を覗きに行った。近づくと胸は轟いた。が、ただ焼原であった。
私は夢かとも思う。いや、雀の宿の気がする。……あの大漢のまる顔に、口許のちょぼんとしたのを思え。卯の毛で胡粉を刷いたような女の膚の、どこか、頤の下あたりに、黒いあざはなかったか、うつむいた島田髷の影のように――
おかしな事は、その時摘んで来たごんごんごまは、いつどうしたか定かには覚えないのに、秋雨の草に生えて、塀を伝っていたのである。
「どうだい、雀。」
知らぬ顔して、何にも言わないで、南天燭の葉に日の当る、小庭に、雀はちょん、ちょんと遊んでいる。