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Japanische Klassiker mit Furigana

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に、さんば――じゅうに、さんば

鏡花短篇集

泉 鏡花

Lesen Sie 鏡花短篇集 (に、さんば――じゅうに、さんば) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 33.305 Zeichen · 66 Bildschirme

Aozora Bunko

あの声がキイと聞えるばかり鳴き縋って、引切れそうに胸毛を震わす。利かぬ羽を渦にして抱きつこうとするのは、おっかさんが、嘴を笊の目に、その……ツツと入れては、ツイと引く時である。

見ると、小さな餌を、虫らしい餌を、親は嘴に銜えているのである。笊の中には、乳離れをせぬ嬰児だ。火のつくように泣立てるのは道理である。ところで笊の目を潜らして、口から口へ哺めるのは――人間の方でもその計略だったのだから――いとも容易い。

だのに、餌を見せながら鳴き叫ばせつつ身を退いて飛廻るのは、あまり利口でない人間にも的確に解せられた。「あかちゃんや、あかちゃんや、うまうまをあげましょう、其処を出ておいで。」と言うのである。他の手に封じられた、仔はどうして、自分で笊が抜けられよう? 親はどうして、自分で笊を開けられよう? その思はどうだろう。

私たちは、しみじみ、いとしく可愛くなったのである。

石も、折箱の蓋も撥飛ばして、笊を開けた。「御免よ。」「御免なさいよ。」と、雀の方より、こっちが顔を見合わせて、悄気げつつ座敷へ引込んだ。

少々極が悪くって、しばらく、背戸へ顔を出さなかった。