Japanische Klassiker mit Furigana
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に、さんば――じゅうに、さんば
鏡花短篇集
泉 鏡花
Lesen Sie 鏡花短篇集 (に、さんば――じゅうに、さんば) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 33.305 Zeichen · 66 Bildschirme
」
「さようでございます。もう路が悪うございまして、車が通りませんものですから、炭でも薪でも、残らず馬に附けて出しますのでございます。
それに丁どこの御山の石の門のようになっております、戸室口から石を切出しますのを、皆馬で運びますから、一人で五疋も曳きますのでございますよ。」
「それではその麓から来たんだね、唯一人。……」
静に歩を移していた高坂は、更にまた女の顔を見た。
「はい、一人でございます、そしてこちらへ参りますまで、お姿を見ましたのは、貴方ばかりでございますよ。」
いかにもという面色して、
「私もやっぱり、そうさ、半里ばかりも後だった、途中で年寄った樵夫に逢って、路を聞いた外にはお前さんきり。
どうして往って還るまで、人ッ子一人いようとは思わなかった。」
この辺唯なだらかな蒼海原、沖へ出たような一面の草をしながら、
「や、ものを言っても一つ一つ谺に響くぞ、寂しい処へ、能くお前さん一人で来たね。」
女は乳の上へ右左、幅広く引掛けた桃色の紐に両手を挟んで、花籃を揺直し、
「貴方、その樵夫の衆にお尋ねなすって可うございました。そんなに嶮しい坂ではございませんが、些とも人が通いませんから、誠に知れにくいのでございます。