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Japanische Klassiker mit Furigana

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に、さんば――じゅうに、さんば

鏡花短篇集

泉 鏡花

Lesen Sie 鏡花短篇集 (に、さんば――じゅうに、さんば) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 33.305 Zeichen · 66 Bildschirme

Aozora Bunko

チチッ、チチッ、一人でお食べなと言っても肯かない。頬辺を横に振っても肯かない。で、チイチイチイ……おなかが空いたの。……おお、よちよち、と言った工合に、この親馬鹿が、すぐにのろくなって、お飯粒の白い処を――贅沢な奴らで、内のは挽割麦を交ぜるのだがよほど腹がすかないと麦の方へは嘴をつけぬ。此奴ら、大地震の時は弱ったぞ――啄んで、嘴で、仔の口へ、押込み揉込むようにするのが、凡そ堪らないと言った形で、頬摺りをするように見える。

怪しからず、親に苦労を掛ける。……そのくせ、他愛のないもので、陽気がよくて、お腹がくちいと、うとうととなって居睡をする。……さあさあ一きり露台へ出ようか、で、塀の上から、揃ってもの干へ出たとお思いなさい。日のほかほかと一面に当る中に、声は噪ぎ、影は踊る。

すてきに物干が賑だから、密と寄って、隅の本箱の横、二階裏の肘掛窓から、まぶしい目をぱちくりと遣って覗くと、柱からも、横木からも、頭の上の小廂からも、暖な影を湧かし、羽を光らして、一斉にパッと逃げた。――飛ぶのは早い、裏邸の大枇杷の樹までさしわたし五十間ばかりを瞬く間もない。――(この枇杷の樹が、馴染の一家族の塒なので、前通りの五本ばかりの桜の樹(有島家)にも一群巣を食っているのであるが、その組は私の内へは来ないらしい、持場が違うと見える