Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ながやてんいちぼう
長屋天一坊
山本 周五郎
Lesen Sie 長屋天一坊 (ながやてんいちぼう) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 29.453 Zeichen · 57 Bildschirme
吾助は震えだした、「御自分の口から、この儂を御信頼あればこそ、秘中の秘をお漏らし、いや、いやお漏らしではない、お漏らしは後架でして頂く」
「ばかばかしい気でも違ったのかい」
ごうつくは厚い唇を反らせ、鼻の孔を上へ向けた。
「御信仰だかなんだか知らないが、どうせ拾って来るなら繩の切っ端でも拾って来るがいい、繩はおまんまを食わないからね、ふん、家へ置くなら食い扶持は、おまえさんの煙草銭から差引だよ」
「でもこの人の鼻、立派だわねえ」
臼であり色けちであるところのおわきは、真正面からこのお方の顔を眺め、特にその偉大なるところの逞しき鼻に、惹きつけられたものだろう。舌舐めずりをしながら妙な眼をした。
「鼻の大きい男は、なにかも大きいって云うじゃないの、それに、馬鹿のなんとかって、……いいわ阿母さん、この人の食い扶持はあたしが払うことにするわ」
ふしぎなことであるが、おわきは家庭に於ては女性的言語を弄するものだろう。これを聞いて母親ごうつくは酸いような顔をしたが、父親なる禿は俄かに膝を乗出したのである。
「そそ、それは儂の実はかねて思うところだ、それは頼む、そこのところは万難を排してひとつ、……まかり間違えばお部屋さま、とすれば儂とおたきは御幼君の、……なんに当るか、それは若君が御出産の上だけれども」