Japanische Klassiker mit Furigana
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ながさきのいちべつ
長崎の一瞥
宮本 百合子
Lesen Sie 長崎の一瞥 (ながさきのいちべつ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.773 Zeichen · 14 Bildschirme
京都の万福寺の建物では智的であり意力的な線の勁さを感じたが、此方の建物から其感銘は受け難かった。時間がおそかったので、本堂の扉が住持が閉めたところであった。宝物は一つも見られず。千呆禅師が天和二年に長崎の饑饉救済をしたという大釜の前に立って居ると、庫裡からひどく仇っぽさのある細君が吾妻下駄をからころ鳴して出て来た。龍宮造りの楼門のところで遊んで居る息子を頻りに呼ぶ。息子は来ず、労働服をつけた男が家に帰るらしく石段をかたかた下から登って来た。唐門を入ったつき当りの低い築地から枝をさし出した一叢の紅薔薇が、露多い夕闇に美しかった。
夜、一番賑やかという西浜町へ出て見る。鼈甲細工屋と、洋傘屋の多いのに驚いた。長崎の初夏は、女の人々に洋傘がこれ程重大がられるのだろうか。鼈甲、品質はよいのだろうが、図案もう一息。特に飾ピンなど。寄合町迄行って帰りに驟雨に会った。
第二日
多忙な永山氏を煩すことだから、大奮発で七時起床。短時間の滞在だから永山氏に大体観るべきところの教示を受けたいと、昨日電話して置いたのだ。紹介状には、私共二人の名が連ねてある。