Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ながさきのいんしょう
長崎の印象
宮本 百合子
Lesen Sie 長崎の印象 (ながさきのいんしょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.996 Zeichen · 28 Bildschirme
すると、幾許もなく、建物の一隅から素晴らしい銅鑼の音が起った。がらんとした建物じゅうにはびこる無気力な静寂を、震駭させずには置かないという響だ。食事の知らせである。
がっしり天井の低い低い茶っぽい食堂の壁に、夥しく花鳥の額、聯の類が懸っている。棚には、紅釉薬の支那大花瓶が飾ってある。その上、まだ色彩の足りないのを恐れるかのように、食卓の一つ一つに、躑躅、矢車草、金蓮花など、一緒くたに盛り合わせたのが置いてある。年寄の、皺だらけで小さい給仕が、出て来た。空腹ではあったし、料理は決して不味くはなかった。けれども、何といおうか、このごたごた種々な色ばかり目につく食堂に物を食べているのは、我々ただ二人ぎりだということは、食うという動作に妙な自覚を与えられる――つまり、その感じを少しつきつめて行くと、度はずれな人気なさと錯雑した色彩の跳梁とで何処やらアラン・ポウ的幻想が潜んでいそうな室内で、顎骨を上下させ咀嚼作用を営んでいる孤独な自分等が、変に悲しいということになるのだ。味覚から来る美味いという感覚は私共を頻りに陽気にさせようとする。けれども、周囲の雰囲気は、嗜眠病のように人を滅入らせる。