Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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まぶたのはは

長谷川伸傑作選 瞼の母

長谷川 伸

Lesen Sie 長谷川伸傑作選 瞼の母 (まぶたのはは) von 長谷川 伸 (はせがわしん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 94.753 Zeichen · 192 Bildschirme

Aozora Bunko

でもなあ、志州鳥羽の港にいる時、こっちにいた頃知っていた良公って奴があったろう、あ奴が何か間違いをして、逃げ歩いて鳥羽の港へきたんだ。良公からお前のことを聞いた時、女なんて到る処で招かずとも靡いてくるものと、永い間己惚れていた夢が一ぺんにさめてしまった。それから、こっちへ帰ろうと、船印を彫るはもとより、手当り次第に精を出し、一時は少し銭を貯めたが、病ったので駄目になり、又稼いでいるうちに考えれば居ても起っても耐らないので、土産らしい物を持ちもしないで帰りは帰ってきたのだが。

お蔦  ああそれで判った。

辰三郎 今の奴等が喋舌ったろうから隠しはしない。いくら何でも不人情をした上に、裸一貫では、敷居一つが越し難いので、もとは慰みに憶えたイカサマばくちを。(胴巻に入れた金を出し)見てくれ。剃刀の刃渡りだとは思いながら、金が欲しさに手を振って、こんなに勝って取りは取ったが、直ぐに祟りが廻ってきている。こ、これじゃあ、何にもなりゃしない。

お蔦  そんなに悔むには及ばない、夫婦親子三人で今から直ぐに、ここの土地を後にしょう。もしやお前さんが帰るか帰るかと、死んだのだろうと思いながら居ついたこの土地、もう未練なんかありゃしない。