Japanische Klassiker mit Furigana
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かのように
阿部一族・舞姫
Lesen Sie 阿部一族・舞姫 (かのように) von Mori Ōgai (森 鴎外) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 69.875 Zeichen · 141 Bildschirme
洋行して帰ってからは、いつも洋服を著ているのである。
そこへお母あ様が這入って来た。「きょうは日曜だから、お父う様は少しゆっくりしていらっしゃるのだが、わたしはもう御飯を戴くから、お前もおいででないか。」こう云って、息子の顔を横から覗くように見て、詞を続けた。「ゆうべも大層遅くまで起きていましたね。いつも同じ事を言うようですが、西洋から帰ってお出の時は、あんなに体が好かったのに、余り勉強ばかりして、段々顔色を悪くしておしまいなのね。」
「なに。体はどうもありません。外へ出ないでいるから、日に焼けないのでしょう。」笑いながら云って、一しょに洋室を出た。
しかし奥さんにはその笑声が胸を刺すように感ぜられた。秀麿が心からでなく、人に目潰しに何か投げ附けるように笑声をあびせ掛ける習癖を、自分も意識せずに、いつの間にか養成しているのを、奥さんは本能的に知っているのである。
食事をしまって帰った時は、明方に薄曇のしていた空がすっかり晴れて、日光が色々に邪魔をする物のある秀麿の室を、物見高い心から、依怙地に覗こうとするように、窓帷のへりや書棚のふちを彩って、卓の上に幅の広い、明るい帯をなして、インク壺を光らせたり、床に敷いてある絨氈の空想的な花模様に、刹那の性命を与えたりしている。