Japanische Klassiker mit Furigana
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かのように
阿部一族・舞姫
Lesen Sie 阿部一族・舞姫 (かのように) von Mori Ōgai (森 鴎外) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 69.875 Zeichen · 141 Bildschirme
私ははっと思って、一旦引いた手を又出した。そして注がれた杯の酒を見つつ、私は自ら省みた。
「まあ、己はなんと云う未錬な、いく地のない人間だろう。今己と相対しているのは何者だ。あの白粉の仮面の背後に潜む小さい霊が、己を浪花節の愛好者だと思ったのがどうしたと云うのだ。そう思うなら、そう思わせて置くが好いではないか。試みに反対の場合を思って見ろ。この霊が己を三味線の調子のわかる人間だと思ってくれたら、それが己の喜ぶべき事だろうか。己の光栄だろうか。己はその光栄を担ってどうする。それがなんになる。己の感情は己の感情である。己の思想も己の思想である。天下に一人のそれを理解してくれる人がなくたって、己はそれに安んじなくてはならない。それに安んじて恬然としていなくてはならない。それが出来ぬとしたら、己はどうなるだろう。独りで煩悶するか。そして発狂するか。額を石壁に打ち附けるように、人に向かって説くか。救世軍の伝道者のように辻に立って叫ぶか。馬鹿な。己は幼穉だ。己にはなんの修養もない。己はあの床の間の前にすわって、愉快に酒を飲んでいる。真率な、無邪気な、そして公々然とその愛するところのものを愛し、知行一致の境界に住している人には、に劣っている。