Japanische Klassiker mit Furigana
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かのように
阿部一族・舞姫
Lesen Sie 阿部一族・舞姫 (かのように) von Mori Ōgai (森 鴎外) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 69.875 Zeichen · 141 Bildschirme
夜に入って上裁籤の組は、皆国元の父母兄弟その他親戚(しんせき)故旧に当てた遺書を作って、髻(もとどり)を切ってそれに巻き籠め、下横目に差し出した。
そこへ藩邸を警固している五小隊の士官が、酒肴(しゅこう)を持たせて暇乞(いとまごい)に来た。隊長、小頭、兵卒十六人とは、別々に馳走(ちそう)になった。十六人は皆酔い臥(ふ)してしまった。
中に八番隊の土居八之助が一人酒を控えていたが、一同鼾(いびき)をかき出したのを見て、忽(たちま)ち大声で叫んだ。
「こら。大切な日があすじゃぞ。皆どうして死なせて貰(もら)う積じゃ。打首になっても好いのか」
誰やら一人腹立たしげに答えた。
「黙っておれ。大切な日があすじゃから寐(ね)る」
この男はまだ詞(ことば)の切れぬうちに、又鼾をかき出した。
土居は六番隊の杉本の肩を掴(つか)まえて揺り起した。
「こら。どいつも分からんでも、君には分かるだろう。あすはどうして死ぬる。打首になっても好いのか」
杉本は跳(は)ね起きた。
「うん。好く気が附いた。大切な事じゃ。皆を起して遣ろう」
二人は一同を呼び起した。どうしても起きぬものは、肩を掴まえてこづき廻した。