Japanische Klassiker mit Furigana
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かのように
阿部一族・舞姫
Lesen Sie 阿部一族・舞姫 (かのように) von Mori Ōgai (森 鴎外) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 69.875 Zeichen · 141 Bildschirme
そこで寺内を見物しようと云うことになった。庭へ出て見ると、寺の内外は非常な雑沓(ざっとう)である。堺の市中は勿論、大阪、住吉、河内在等から見物人が入り込んで、いかに制しても立ち去らない。鐘撞堂(かねつきどう)には寺の僧侶が数人登って、この群集を見ている。八番隊の垣内がそれに目を着けて、つと堂の上に登って、僧侶に言った。
「坊様達、少し退(の)いて下されい。拙者は今日切腹して相果てる一人じゃ。我々の中間(なかま)には辞世の詩歌などを作るものもあるが、さような巧者な事は拙者には出来ぬ。就いてはこの世の暇乞に、その大鐘を撞いて見たい。どりゃ」と云いさま腕まくりをして撞木(しゅもく)を掴んだ。僧侶は驚いて左右から取り縋(すが)った。
「まあまあ、お待ち下さりませ。この混雑の中で鐘が鳴ってはどんな騒動になろうも知れません。どうぞそれだけは御免下さりませ」
「いや、国家のために忠死する武士の記念じゃ。留めるな」
垣内と僧侶とは揉(も)み合っている。それを見て垣内の所へ、中間の二三人が駆け附けた。
「大切な事を目前に控えていながら、それは余り大人気ない。鐘を鳴らして人を驚かしてなんになる。