Japanische Klassiker mit Furigana
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いんじゅう
陰獣
江戸川 乱歩
Lesen Sie 陰獣 (いんじゅう) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 66.968 Zeichen · 131 Bildschirme
第一真暗でどうすることも出来ないので、私は静子の家にあった手提電燈を借りて、苦心をして梁を伝いながら、問題の箇所へ近づいて行った。そこには、天井板に隙間が出来ていて、多分灰汁洗をした為に、そんなに板がそり返ったのであろう、下から薄い光がさしていたので、それが目印になった。だが、私は半間も進まぬ内にドキンとする様なものを発見した。私はそうして屋根裏に上りながらも、実はまさかまさかと思っていたのだが、静子の想像は決して間違っていなかったのだ。そこには梁の上にも、天井板の上にも、確かに最近人の通ったらしい跡が残っていた。私はゾーッと寒気を感じた。小説を知っている丈けで、まだ逢ったことのない、毒蜘蛛の様な、あの大江春泥が、私と同じ恰好で、その天井裏を這い廻っていたのかと思うと、私は一種名状しがたい戦慄に襲われた。私は堅くなって、梁のほこりの上に残った手だか足だかの跡を追って行った。時計の音のしたという場所は、なるほど、ほこりがひどく乱れて、そこに長い間人のいた形跡があった。
私はもう夢中になって、春泥と覚しき人物のあとをつけ始めた。彼は殆ど家中の天井裏を歩き廻ったらしく、どこまで行っても、梁の上のほこりの痕は尽きなんだ。