Japanische Klassiker mit Furigana
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いんえいらいさん
陰翳礼讃
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 陰翳礼讃 (いんえいらいさん) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 31.020 Zeichen · 61 Bildschirme
諸君はそう云う座敷へ這入った時に、その部屋にたゞようている光線が普通の光線とは違うような、それが特に有難味のある重々しいもののような気持がしたことはないであろうか。或はまた、その部屋にいると時間の経過が分らなくなってしまい、知らぬ間に年月が流れて、出て来た時は白髪の老人になりはせぬかと云うような、「悠久」に対する一種の怖れを抱いたことはないであろうか。
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諸君はまたそう云う大きな建物の、奥の奥の部屋へ行くと、もう全く外の光りが届かなくなった暗がりの中にある金襖や金屏風が、幾間を隔てた遠い/\庭の明りの穂先を捉えて、ぽうっと夢のように照り返しているのを見たことはないか。その照り返しは、夕暮れの地平線のように、あたりの闇へ実に弱々しい金色の明りを投げているのであるが、私は黄金と云うものがあれほど沈痛な美しさを見せる時はないと思う。そして、その前を通り過ぎながら幾度も振り返って見直すことがあるが、正面から側面の方へ歩を移すに随って、金地の紙の表面がゆっくりと大きく底光りする。決してちら/\と忙がしい瞬きをせず、巨人が顔色を変えるように、きらり、と、長い間を置いて光る。