Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ちんじょうしょ

陳情書

西尾 正

Lesen Sie 陳情書 (ちんじょうしょ) von 西尾 正 (にしおただし) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 19.750 Zeichen · 38 Bildschirme

Aozora Bunko

私の疑惑は茲に確定的なものと成りました。一時は恟ッと致しましたが表面は益々落着いて、あんな綺麗な女の色男になるなんて果報者だな、其の果報者は何処の何奴だと空呆けて訊きますと、相手は一層調子に乗って来て、それはそれは綺麗な美男子なのよ、恰で女見たいな。貴方、浅草の寿座に掛って居る芝居見た事ある? 其の人は一座の女形なんですって、今夜も既う今頃はお娯しみの最中よ、そりゃ仲が良くって、妾達妬ける位だわ、と野放図も無く喋り立てます。最後に私の確信にとどめを刺す心算で、おふささんは何処に住んで居るんだい、まさか高円寺じゃあるまいね、と大きく呼吸をし乍ら質しますと、あら、やっぱし高円寺よ、屹度おんなじ女じゃない? 何でも男の子が一人有るんですって、でも御亭主が御亭主だからおふささんも大っぴらで好きな事をして居るらしいのよ、と淡々然と答えたので有ります。酒精の切れた時の私の心臓は非常に刺戟に弱いのでありまして、男の子が一人あると聞いた瞬間はドクドクと物凄い速力で暫しの間鳴って居りました。何故私が是程の動揺を受けたのかと申しますと、それは妻の不貞の事実よりも、――それはそれとしてさして問題にす可き事柄ではありませんし、――其の時高円寺の襤褸家で口を開け高鼾で眠って居る妻の姿を想像すると同時に、今其の家で別のもう一人の妻