Japanische Klassiker mit Furigana
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ちんじょうしょ
陳情書
西尾 正
Lesen Sie 陳情書 (ちんじょうしょ) von 西尾 正 (にしおただし) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 19.750 Zeichen · 38 Bildschirme
或る秘密出版社に頼まれて、所謂好色本の原稿を書き綴って読者に言外の満足を与えた事も再三でありました。……
偖、斯うして家庭が貧困の裡に喘いで居乍らも、金さえ這入れば私は酒と女に耽溺する事を忘れませんでした。病的婬乱症――此の名称が男子にも当て嵌るものであるならば、其の当時の私の如き正に其の重篤患者に相違ありませんでした。最早や二歳の児がある程の永い結婚生活は、水々しかった妻の白い肉体から総ての秘密を曝露し尽して了いまして、妻以外の女の幻影が私の淫らな神経を四六時中刺戟して居りまして、その為大事な理性を失って居た位であります。其の日、二月某日の夜は寒い刺す様な風が吹いて居りました。金を懐に七時頃家を飛び出し、其の頃毎夜の如く放浪する浅草の活動街に姿を現わしました。都バアで三本許りの酒を飲んでから、レヴュウ見物に玉木座の木戸を潜りました。婦人同伴席にそっと混れ込んで、――是は私の習癖で御座いまして、一時間余り痴呆の様になって女の匂いを嗅ぎ乍ら、猥雑なレヴュウを観て居る裡に、忽ちそんな場所に居る事が莫迦莫迦しくなり一刻も早く直接女との交渉を持った方が切実だと謂う気になりまして直ぐ態其処を飛び出して了いましたものの、何分時間が早いので一応雷門の牛屋に上りまして鍋をつっ突き酒を加え乍ら、何方方面の女にしようかと目論見