Japanische Klassiker mit Furigana
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かげろうざ
陽炎座
泉 鏡花
Lesen Sie 陽炎座 (かげろうざ) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 33.381 Zeichen · 67 Bildschirme
五
大当り、尺的に矢の刺っただけは新粉屋の看板より念入なり。一面藤の花に、蝶々まで同じ絵を彩った一張の紙幕を、船板塀の木戸口に渡して掛けた。正面前の処へ、破筵を三枚ばかり、じとじとしたのを敷込んだが、日に乾くか、怪い陽炎となって、むらむらと立つ、それが舞台。
取巻いた小児の上を、鮒、鯰、黒い頭、緋鯉と見たのは赤い切の結綿仮髪で、幕の藤の花の末を煽って、泳ぐように視められた。が、近附いて見ると、坂東、沢村、市川、中村、尾上、片岡、役者の連名も、如件、おそば、お汁粉、牛鍋なんど、紫の房の下に筆ぶとに記してあった……
松崎が、立寄った時、カイカイカイと、ちょうど塀の内で木が入って、紺の衣服に、黒い帯した、円い臀が、蹠をひょい、と上げて、頭からその幕へ潜ったのを見た。――筵舞台は行儀わるく、両方へ歪んだが。
半月形に、ほかほかとのぼせた顔して、取廻わした、小さな見物、わやわやとまた一動揺。
中に、目の鋭い屑屋が一人、箸と籠を両方に下げて、挟んで食えそうな首は無しか、とじろじろと睨廻わす。
もう一人、袷の引解きらしい、汚れた縞の単衣ものに、綟綟れの三尺で、頬被りした、ずんぐり肥った赤ら顔の兄哥が一人、のっそり腕組をして交る……