Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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かげろうざ

陽炎座

泉 鏡花

Lesen Sie 陽炎座 (かげろうざ) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 33.381 Zeichen · 67 Bildschirme

Aozora Bunko

言った方も戯に、聞く女も串戯らしく打消したが、松崎は、かえって、うっかりしていた伝説を、夢のように思出した。

興ある事かな。

日は永し。

今宮辺の堂宮の絵馬を見て暮したという、隙な医師と一般、仕事に悩んで持余した身体なり、電車はいつでも乗れる。

となると、家へ帰るにはまだ早い。……どうやら、橋の上で聞いたよりは、ここへ来ると、同じ的の無い中にも、囃子の音が、間近に、判然したらしく思われる。一つは、その声の響くのは、自分ばかりでない事を確めたせいであろう。

その上、世を避けた仙人が碁を打つ響きでもなく、薄隠れの女郎花に露の音信るる声でもない……音色こそ違うが、見世ものの囃子と同じく、気をそそって人を寄せる、鳴ものらしく思うから、傾く耳の誘わるる、寂しい横町へ電車を離れた。

向って日南の、背後は水で、思いがけず一本の菖蒲が町に咲いた、と見た。……その美しい女の影は、分れた背中にひやひやと染む。……

と、チャンチキ、チャンチキ、嘲けるがごとくに囃す。……

がらがらと鳴って、電車が出る。突如として、どどん、じゃん、じゃん。――ぶらぶら歩行き出すと、ツンツンテンレン、ツンツンテンレン。