Japanische Klassiker mit Furigana
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かげろうざ
陽炎座
泉 鏡花
Lesen Sie 陽炎座 (かげろうざ) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 33.381 Zeichen · 67 Bildschirme
トはっとした体で、よろよろと退ったが、腰も据らず、ひょろついて来て縋るように寄ったと思うと、松崎は、不意にギクと手首を持たれた。
「貴方を、伴侶、伴侶と思います。あ、あ、あの、楽屋の中が、探険、……」
紳士は探険と言った。
「た、た、探険したい。手を貸して下さい。御、御助力が願いたい。」
「それはよくない。不可ません。見物は、みだりに芝居の楽屋へ入るものではないんです。」
「そ、そんなら、妻を――人の見る前、夫が力ずくでは見っともない。貴方、連出して下さい、引張出して下さい、願います。僕を、他人だなんて僕を、……妻は発狂しました。」
二十四
「いいえ、御心配には及びません。」
松崎は先んじられた……そして美しい女は、淵の測り知るべからざる水底の深き瞳を、鋭く紳士の面に流して
「私は確です。発狂するなら貴方がなさい、御令妹のお稲さんのために。」
と、爽かに言った。
「私とは、他人なんです。」
「他人、何だ、何だ。」
と喘ぐ、
「ですが、私に考えがあって、ちょっと知己になっていたばかりなんです。」
美しい女は、そんなものは、と打棄る風情で、屹とまた幕に向って立直った。