Japanische Klassiker mit Furigana
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かりさかごえ
雁坂越
幸田 露伴
Lesen Sie 雁坂越 (かりさかごえ) von 幸田 露伴 (こうだろはん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.263 Zeichen · 28 Bildschirme
そこで歳こそ往かないが源三もなんとなく心淋しいような感じがするので、川の側の岩の上にしばし休んで、鞳と流れる水のありさまを見ながら、名づけようを知らぬ一種の想念に心を満たしていた。そうするといずくからともなく人声が聞えるようなので、もとより人も通わぬこんなところで人声を聞こうとも思いがけなかった源三は、一度は愕然として驚いたが耳を澄まして聞いていると、上の方からだんだんと近づいて来るその話声は、復び思いがけ無くもたしかに叔父の声音だった。そこで源三は川から二三間離れた大きな岩のわずかに裂け開けているその間に身を隠して、見咎められまいと潜んでいると、ちょうど前に我が休んだあたりのところへ腰を下して憩んだらしくて、そして話をしているのは全く叔父で、それに応答えをしているのは平生叔父の手下になっては※(「峠」の「山へん」が「てへん」、第3水準1-84-76、73-8)ぐ甲助という村の者だった。川音と話声と混るので甚く聞き辛くはあるが、話の中に自分の名が聞えたので、おのずと聞き逸すまいと思って耳を立てて聞くと、「なあ甲助、どうせ養子をするほども無い財産だから、嚊が勧める嚊の甥なんぞの気心も知れねえ奴を入れるよりは、怜悧で天賦の良いあの源三におらが有ったものは不残遣るつもりだ。