Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

めすについて

雌に就いて

太宰 治

Lesen Sie 雌に就いて (めすについて) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.994 Zeichen · 11 Bildschirme

Aozora Bunko

女のほうへ背をむけたままで、一心不乱に本を読む。」

「荷風は、すこし、くさくないかね?」

「それじゃ、バイブルだ。」

「気持は、判るのだがね。」

「いっそ、草双紙ふうのものがいいかな?」

「君、その本は重大だよ。ゆっくり考えてみようじゃないか。怪談の本なんかもいいのだがねえ。何かないかね。パンセは、ごついし、春夫の詩集は、ちかすぎるし、何かありそうなものだがね。」

「――あるよ。僕のたった一冊の創作集。」

「ひどく荒涼として来たね。」

「はしがきから読みはじめる。うろうろうろうろ読みふける。ただ、ひたすらに、われに救いあれという気持だ。」

「女に亭主があるかね?」

「背中のほうで水の流れるような音がした。ぞっとした。かすかな音であったけれども、脊柱の焼けるような思いがした。女が、しのんで寝返りを打ったのだ。」

「それで、どうした?」

「死のうと言った。女も、――」

「よしたまえ。空想じゃない。」

客人の推察は、あたっていた。そのあくる日の午後に情死を行った。芸者でもない、画家でもない、私の家に奉公していたまずしき育ちの女なのだ。

女は寝返りを打ったばかりに殺された。私は死に損ねた。