Japanische Klassiker mit Furigana
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ざっきちょうより(に)
雑記帳より(Ⅱ)
寺田 寅彦
Lesen Sie 雑記帳より(Ⅱ) (ざっきちょうより(に)) von 寺田 寅彦 (てらだとらひこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.473 Zeichen · 9 Bildschirme
片側は墨で片側は朱で書いてあるのを、出勤したときは黒字の方を出し、帰るときは裏返して朱字の方を出しておくのである。粗末な白木の札であるから新入りでない人の札はみんな手垢で薄黒く汚れている。ところが、人によっては姓名の第一番の文字のところだけに真黒に指の跡を印している人があるかと思うと、また二番目の字を汚している人もある。そうかと思うとまた下の二字を一様に汚して上の二字は綺麗に保存しているのもある。一方ではまたちっともそうした汚点をつけていない人もある。こうした区別が何を意味するかはそう簡単な問題ではないであろう。しかし、ことによるとこの姓名札の汚し方の同じ型に属する人には自ずから共通な素質があるかもしれない。そうして、人間の性情の型を判断する場合にこの方がむしろ手相判断などよりも、もっと遥かに科学的な典拠資料になりはしないかと想像される。
少なくも、真黒な指の痕をつけている人は、名札の汚れなどという事には全然無関心な人であるというくらいのことは云われそうである。わざわざ痕をつけて、それが日々黒くなるのを楽しみにする人はめったになさそうに思われる。