Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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エス・オー・エス・ボーイ

難船小僧

夢野 久作

Lesen Sie 難船小僧 (エス・オー・エス・ボーイ) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.169 Zeichen · 43 Bildschirme

Aozora Bunko

何でも致します。……すぐに……すぐに船から下して下さい。殺さないで下さい」

「知ってやがったか。ワハハハハハハハ」

兼は大口を開いて笑いながら私たちを見まわした。船長も二等運転手も、多分俺の顔も石のように剛ばっていた。あんまり兼の笑い顔が恐ろしかったので……額の向疵までが左右に開いて笑ったように見えたので……。

「……サ柔順しく働らけ。誰も手前の事なんか云ってる奴は居ねえんだからな。ハハハ」

小雨の中に肩をすぼめて艙口を降りて行く伊那少年の背後姿は、世にもイジラシイ憐れなものであった。

そうして俺達はソレッキリ伊那少年の姿を見なかったのだ。

犬吠埼から金華山沖の燈台を離れると、北海名物の霧がグングン深くなって行く。汽笛を矢鱈に吹くので汽鑵の圧力計がナカナカ上らない。速力も半減で、能率の不経済な事夥しい。

一等運転手と船長と、俺とが、食堂でウイスキー入りの紅茶を飲みながらコンナ話をした。

「今度は霧が早く来たようだね」

「すぐ近くに氷山がプカプカやっているんじゃねえかな。霧が恐ろしく濃いようだが……」

「そういえば少し寒過ぎるようだ。コンナ時にはウイスキー紅茶に限るて……」